所長からのメッセージ
当事務所では季刊誌「TOMONI」を年3回発行しています。その中の「らしん盤」コーナーに所長からのメッセージーが掲載されます。
第三セクターの危機(第39号 2008.6.10発行)
国や地方公共団が主体となって設立された第三セクターの一部が経営危機に直面しています。地方分権化推進の渦中で財政の透明性が増していくにつれて、
帯広市のように、第三セクターの破綻が地方自治体の破綻に繋がってしまうこともあります。
昨年から今年前半にかけて活動した安曇野市の「安曇野市出資法人あり方検討専門委員会」の一員として、市が出資した第三セクターの見直しを話し合いましたが、議論を通して感じたことを述べたいと思います。
第三セクターの設立目的は行政の補完であることを考えると、公益性が確保されなければなりません、そのために収益性が犠牲となるのは一般的な営利法人と違うところです。通常、第三セクターは自治体が設置した施設を使用して
経営活動を行いますが、安曇野市では、その利用料(賃借料)の算定に統一性がありません。
本来、利用料は施設の耐用年数に応じた投下資金の回収や、利回りを基準に算定されるはずですが、安曇野市の場合は五市町村が合併して誕生したこともあり、算定方法については旧市町村の基準がバラバラです。
第三セクターの事業には公益性に首を傾げたくなるような法人もあり、国からの補助金の取得が目的で設立されたのではないかと疑いたくなるようなものもあります。民間企業と異なり経営成績が法人の存立に直接の影響を及ぼさないため、経営に緊張感が見られない場合もあります。
その中にあっても、努力を重ね収益を計上している法人もあります。又、第三セクターは地域の雇用創出や地域経済の活性化にはそれなりの成果を挙げています。公益性と収益性の相反する条件をクリアーし、企業として今後も市民の支持を得るためには、民間企業と同様に経営に携わる人の熱き情熱が必要です。
母の思い出(第38号 2008.1.15発行)
昨年の十一月に九十三才の母を亡くしました。十月十一日に軽い肺炎で市内の総合病院に入院したのが我が家で過した最後の日となり、たったの四十日で帰らぬ人となってしまいました。 母は私達兄弟が幼い頃から臨時雇いの学校給食調理員として女手一つで二人の息子を育ててきました。夜は近くの食堂で皿洗いをして親子三人の生活を支えてきたのです。 誰しもが幼い頃の親子の楽しい想い出を二つや三つ持っているものですが、私にはそのような記憶がありません。母には時間的にも経済的にも親子の触れ合いを楽しむ余裕などなかったのかも知れません。 そのような思いがあったのか、昭和五十二年に私が信州へ移り住むと決めたときも、住み慣れた東京を離れるのは辛かったと思うのですが反対はしませんでした。 穂高へ来て私の生活も安定し始め孫の手も離れると失われた自分の青春を取り戻すかのように外国旅行や大型犬での散歩を楽しみました。 誕生日をケーキで祝ったり、好物の焼肉や寿司を食べに家族揃ってファミリーレストランに出掛けたり、一緒に暮らしていることが当り前の時は、その存在を強く意識することなどなかったのですが、突然目の前から永久に姿を消されてしまうと、失ったものの大きさが身に染みます。 母が私に残してくれたのは形のあるものではなく昔の母の後ろ姿です。私の子供の頃のただ黙々と働き続ける後ろ姿です。 「真面目に一所懸命働く」私も母が残してくれたものを子供達に相続できるよう働きます。お得意様のため、職員のため、地域社会のため、そして家族のために真面目に一所懸命働きたいと思うのです。
背水の陣(第37号 2007.10.22発行)
安倍首相の突然の辞任で誕生した福田内閣は、自らを「背水の陣」内閣と名付けました。「背水の陣」とは、わざと川を背にして陣どり、味方に決死の覚悟をさせ、大いに敵を破った故事から、一歩も退くことのできない絶体絶命の立場、失敗すれば再起はできなくなることを覚悟して全力を尽くして事にあたること(広辞苑より)の意味です。
相次ぐ閣僚の不祥事、年金問題等で安倍内閣は国民の信頼を失い参議院選挙に大敗しました。これを受けて就任した福田総理大臣は、これ以上政府の信用失墜は許されないと、前述の「背水の陣」内閣の誕生となったのでしょう。
ところで国政の最高機関たる内閣と国民の信頼関係の基準は何なのでしょうか。国民が政府に期待するのは、安全・安心の国作りです。外交であれ内政であれ国民が安全な環境のなかで安心して仕事や暮らしていける世の中することです。閣僚が自分の財布と公の財布を混同したり、社会保険庁の杜撰な事務手続で多くの年金受給者に不信感を与えてしまったことは、最終的な任命権者である首相に責任があります。
しかしながら、最近の国会における論戦は政策の是非を問うことより、首相や閣僚の責任を追及することが多く、新聞やテレビ等の報道機関も内閣や行政のミスを大きく報道するので、国民の関心は不祥事追求に向いてしまいます。不祥事を見過ごす訳にはいきませんが、同時に安全・安心な国作りの為の政策論争をもっともっと活発にすべきです。
国益の増進は、各閣僚が自己の信ずる理念の発露による政策の実現にかかっているのです
会社が衛る(第36号 2007.5.1発行)
先日、お得意先の役員が亡くなりました。突然亡くなった彼は40歳に満たない若者でした。葬儀後の直会では、参加者は押し黙ったまま目の前の精進落としの料理を口に運んでいました。彼は社長が次を託そうとしていた職員のリーダー的存在でした。毎月、当事務所の担当者と私が参加して開催される役員会では、売上の増進策や原価管理などについて積極的に発言したり、部下育成など取締役としての職責を見事に果たしていた前途ある若者でした。幸いなことに、彼には会社が生命保険を付保してありましたので、遺族には業務外の死亡ではありましたが充分な退職金が支払われることになりました。
死亡を原因に退職せざるを得なかった役員や職員に対し、会社は残された遺族に亡くなった役員・職員の入社から退社に至までの間の有形・無形の功労に感謝の清算をしなければなりません。万感の想いのこもった弔辞やねぎらいの言葉も遺族を慰めるものとなるでしょうが、現実を直視すれば一家の柱を失った家族の経済的基盤の強化に資することが会社ができる最大の感謝の実現であることに間違いありません。
監査担当者の進言に耳を傾け、生命保険を社長だけではなく他の役員や職員にも付保することが、最後の最後まで会社を信じ、共に歩んだ者への恩返しになるはずだからと決断した社長を、頼もしく自分の将来を託せる経営者だと思わない社員はいないでしょう。
「会社が私を・私の大事な家族を守ってくれる」
なんと心地良い言葉でしょうか。経営者の為すべきことは沢山あるのです。
平成19年度税制改正について(第35号 2007.1.15発行)
昨年の12月14日に自民党の平成19年度税制改正大綱が発表されました。その要旨は、わが国経済の足腰を強くし、経済の活性化を促進し、地域格差を縮小するため、中小企業を中心とした地域経済の活性化を図る一方、国民の公益に対する共助の精神を引き出すほか、住宅関係を含め国民生活に配慮するというものです。具体的には
一.経済活性化・国際競争力の強化
(一)減価償却制度
平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止するほか、同日以後に取得する減価償却資産については、耐用年数経過時点に一円(備忘価額)まで償却できることする。
二.中小企業支援
(一) 留保金課税制度
特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金の額又は出資金の額が一億円以下の会社を除外する。
(二) 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度
適用除外基準である基準所得金額を一六00万円(現行八00万円)に引き上げる。
三.国民生活への配慮
(一)住宅税制
住宅の取得等をして平成十九年又は二0年に居住の用に供した場合について、住宅ローンを有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する。
主な改正は以上ですが、給与所得者にとっては、一昨年まで二0%あった特別控除が昨年は一0%に減り今年からは控除が無くなるなど実質的な増税になりました。
秋からは消費税の論議も始まります。安倍内閣の掲げる格差のない「美しい国、日本」の実現はサラリーマンではなく大企業に向けられているような気がします。団塊世代が加わった少子高齢化社会を切り抜けていくためにある程度の負担増はやぶさかではありませんが、大多数の庶民が格差是正の恩恵を実感できるのは何時のことでしょうか?
新内閣に期待する(第34号 2006.10.16発行)
国民の大多数の支持を得て安倍内閣が発足しました。首相は今回の内閣を「美しい国づくり内閣」と命名し、特定の既得権益を持つ団体などの意見にとらわれず、国民全体の利益を目指して政治を進める一方、「再チャレンジ」担当大臣を設けて倒産や失業からの再起を促す政策を推進していくと言明しました。尾身財務大臣は中小零細企業が倒産から再起できないのは経営者が企業の連帯保証人になっており、企業の倒産が代表者の破産につながってしまうと問題解決を訴えました。
大企業主導の景気回復に、成長の軌道が描けない企業は沢山あります。個人保証なしの企業借入が実現しても、企業の全ての借入が個人保証なしになることはないでしょう。再チャレンジし易い環境をつくることは大変喜ばしいことで、その実現が待たれます。
それとともに、小さな企業いじめの税制を是正してもらいたいと願います。社長の給与の一部を損金に算入させない制度が始まりました。過去3年間の平均で「社長の給与+会社の所得」が八百万円を超える特定の同族会社は、社長に支払った給与の内、給与所得控除に相当する部分の金額(社長の給与が一千万円の場合は二二0万円)については損金の額に算入しないというものです。会社法の施行により誰でも簡単に会社が設立できるようになったのが理由だそうです。中小企業に多い同族会社にねらいを定めた仕打ちです。利益が計上できなくても税金を納めなくてはならない会社が出現することになりそうです。
安倍総理大臣、大企業と中小企業との格差是正も是非お願いします!!
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